第268話 アオハル

「いやぁまさかあの子が男だったとはねぇ」


さちと雪原が帰った後。


お風呂から上がった姉貴は、部屋に戻ってくるなりニヤニヤしながらそう言った。


「もうちょっと話してみたかったんだけど、やけにひーが嫌がるんだもんね〜?


──やっぱり好きなのかな?」


「なっ!?なんでそこで好きとかになるのさ!」


「なるでしょ〜?

ひーがあんなに乙女な顔するなんてね?」


「…………」


私のほっぺたをつんつんとしながら煽ってくる姉貴。


(だから知られたくなかったのに……)


基本的にモテモテの姉貴は、自分の恋愛についてはまったく興味がないくせに、他人の恋愛については興味津々なのだ。


中学生の時に何度も「彼氏か!?アオハル大事にしろよ〜!」なんて言って、家に男友達を連れてきた時には毎回首を突っ込んできていた。


しかも今回は、中学の時みたいな単なる友達ではない、「好きな人」なだけに姉貴の言葉1つにも動揺させられてしまったりする。


「うひゃぁ〜恋する乙女!

可愛いねぇ!青春だね!アオハルだわ〜!」


「イライライライラ……」


そんな感じで、姉貴の鬱陶しい追求は寝るまで続くのだった。

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