第263話 何かあった?

「きゅぅ〜」


そんなこんなで、浜辺くんが図書館に来るより少し前まで初対面の女の子にあれやこれやと質問をされていたんですが、私が耐えられなくなってこうして部屋の端に引きこもってしまったわけです。


「……やさん…………」


(そもそも、どうして私はあんな質問に動揺してしまったんです……

私達は、普通の友達同士なのに……)


それは私も、浜辺くんも思っていることで、これから先も変わることは無いはずなのに──


「──星宮さん!」


「ひゃいっ!」


名前を呼ばれて反射的にビシッと立ち上がると、驚いた顔をした浜辺くんが床に座って私を見上げていました。


「良かった……

返事がないからちょっと心配になってきちゃってたよ」


「あぁ……えっと、ごめんなさい……

えっと、あの女の子は帰ったんですか?」


あの女の子、どうやら私たちの関係を疑ってるみたいですしもしかしたら図書館に忍んで得ネタを狙っているかもしれません。


気をつけて行動しないと……


「雪原さんのことなら、さっき勢いよく図書館から出て行ったよ。

雪原さん、がよく分からないことを言ってたんだけど、僕が来るまでに何かあった?」


「い、いえいえ!何にもありませんよ!」


よくよく考えると、別に隠すこともない話だったのに何故か私は食い気味に否定してしまいました。


「そ、そう?ならいいけど……

なら仕事しようか?」


浜辺くんも一瞬不思議そうな顔をしましたが、何か察してくれたのか話を変えてくれました。


「そうですね。

まずは、本の整理から……」


そうして、いつも通り少ない仕事をこなして帰る頃には、もうあの女の子のことなんてすっかり忘れてしまっていたのでした……

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