第259話 一緒にたべましょ?
それは、お昼休みになってすぐでした。
作ってきたお弁当をもって、葉幸くんを誘ってお昼ご飯を食べようとしたところでその子は私たちの教室にやってきました。
「せんぱ〜い!お昼一緒にたべましょ?」
教室に入ってきたその子は、真っ先に葉幸くんの手をとると、可愛らしくゆさゆさとその手を引っ張ります。
たしか、1年生の雪原愛美さんです。
直接話した事はありませんが、美雪ちゃんから話を聞いたことがあります。
『1年B組の転校生、雪原愛美こそが学校一可愛い女の子』
そんな話が、1年生の間には広がっているらしいのです。
更に彼女は『2年生の、浜辺葉幸くんの事を愛している』と公言しているようで、間違いなく私の敵です。
事実、すごく可愛いのですが……
「小さいですね」
「何がですか〜?ほーだ先輩?」
ポツリと呟いたわたしの一言に反応して、雪原さんはそのニコニコ顔を向けてきます。
どうやら私のことも知っているみたいです。
「全部……?」
全部というのは全部で、身長もかなり低い方です、胸の辺りなんてもう戦闘力0といってもいいかもしれません。
「ぜ、全部っ……
せんぱいも、そう思いますかぁ?」
しかし、雪原さんは今度は葉幸くんの横でくっつくと、上目遣いにそんな事を言い出します。
「い、いや……わかんないな?」
葉幸くんも困った様子で答えます。
そんな様子に、雪原さんは……
「あ〜!先輩もやっぱり思ってるんですねっ!
私だって、ちゃんとあるんですから!」
「ちょ、ちょっと!?」
椅子に座った葉幸くんに、これでもかと言わんくらいに体を密着させます。ズルいです!
私も負けじと葉幸くんにくっつこうとしましたが、私は重要な事を忘れていたのです。
それは、まだ授業が終わったばかりで、先生が教室に残っているという事で……
「お前ら……外でやれな……?」
「「「す、すみません……」」」
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