第256話 なんでも知ってるんだよ
「そんなことが……
心夏ちゃんイケイケどんどんだね〜」
今日あった出来事を大方姉さんに語り終えると、そこまで意外というような感じもなさそうにそんな感想を口にした。
「姉さんは知ってたの?」
「もっちろ〜ん!
お姉ちゃんは、なんでも知ってるんだよ?」
知ってたんかい……
それじゃあまるで、自分が鈍感みたいで嫌だなぁなんて思っていると姉さんはまるで僕の心を読んだかのように「まぁさちくんが鈍感なだけだけどね!」とつけ加えてくる。
「どうしたらいいのかな……?」
「どうしたらって、どうかする必要あるの?」
姉さんは、少し真面目な顔になって僕に質問し返してきた。
「あるのって……相手に好きって言われたら、思いに答えないといけないんじゃないの?」
少なくとも、僕はそう思っている。
YESでもNOでも何かしら答えないといけないのだと。
しかし姉さんの考えは違ったようで……
「そういう訳じゃないと思うよー?
好きって思いも嫌いって思いも、こっちがYESとかNOとか言ったって溢れてきちゃうんだし」
そうして姉さんは、確信を持った声でつげた。
「だから、ドーンと構えてるだけでいいと思う。
そもそも付き合ってって言われたとかじゃなく、「好き」って伝えられただけなら何も出来ないでしょ?」
「それはたしかに……」
「いつも通りでいいと思うよ。
それで心夏ちゃんにメロメロにされちゃったら、付き合っちゃえばいいんだから」
「そうだね……そうかも。
メロメロになる未来は想像できないけどね」
そう言って、僕と姉さんの笑い合った。
──その時には、僕の中にあった不安みたいなものは全部消えて無くなっていた。
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