第255話 頭がいっぱい

「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」


家に帰るなりベッドに速攻で飛び込んだ僕は、枕に顔をうずめて足をばたばたさせていた。


理由は他でもない。

キャンプファイヤーの時の心夏のあの言動だ。


時計を見ると時間はもう午後9時。いつもならベッドに入りさえすればコロッと寝てしまえるのに今日はそれが出来ない。


「告白、だよね……」


口にするだけでも恥ずかしくなってしまう。


同時に、「なんで」とも思った。


心夏はいろんな男の人とも友達で、僕みたいな寝てばかりの引きこもりがちダメ男なんかよりもっといい人をいっぱい見てきたはずなのに。


「自分で考えてて悲しくなってきた……」


とは言え、これから激化してくると思われる、心夏の「僕をメロメロにさせる作戦」の事を考えると、これはかなり困った事になったと言える。


なんと言っても、可愛いのだ。今までとは違って、あんな事を言われた後なら尚更意識してしまう。


そして、さらに気づいた事が1つ。


「僕、心夏の事で頭がいっぱいにされてる……」


もう心夏の作戦の術中にハマってしまっている僕は、ベッドの上で足をパタパタさせていると……


「お困りのようだね!少年!」


ドアをタンっ!と勢いよく開く音と共に部屋に侵入してきたのは姉さんだ。


「ノックくらいしてよ……」


「うん、10回くらい叩いたけど出てこなかったよ?」


「あ、それはごめん……」


姉さんは、よしよしと僕の頭を撫でる。


「それで、姉さんは何か用?」


僕が質問すると、姉さんは待ってましたと言わんばかりの表情になって……


「弟くんの悩みを、聞いてあげようと思ってね!」


得意げにそう言ったのだった。

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