第244話 同じ

「ミルクティーで良かったよね?」


戻ってきた西新くんにコクリと頷いて、お財布を出します。

確か、ミルクティーは120円だったはず……


「あ、別にいいよ?僕の奢り」


「え?でも、昨日もたくさんご馳走になったし……」


「大丈夫大丈夫!」


「そ、そういう訳には……」


顔を上げて、無理にでもお金を受け取ってもらおうとしたところで私は固まってしまいました。


「どうしてもっていうなら、もし星宮さんが良ければだけど、またこんな風に遊んで欲しいな?」


恥ずかしそうに頬を赤くした西新くんのその表情や雰囲気は、私が最近目にする物と同じでした。


(心夏ちゃんと、同じだ……)


何となくだけど、でもそれはこの2日間を振り返ると「あぁ、そうなんだ」と納得できる結論でした。


『西新くんは、私に好意を持っている』


この2日間、私は西新くんとはとても楽しく過ごせたと思います。

もっと仲良くなれたら、とも思いました。


でも、それは「友達として」であって、「異性として」の気持ちを持っている西新くんとは歯車が噛み合うことはありません。


「やっぱり迷惑かな……?」


少し緊張した様子で私の顔色を伺う西新くんに、私はどう答えていいか分かりません。


「ま、まぁそうだよね!

まだ知り合って何日かの僕にいきなりそんなに風に誘われても困っちゃうよね〜!」


アハハと笑う西新くんは、何となく苦しそうにも見えました。


それを見た瞬間に私は


「そ、そういう事じゃなくて!

えっと……」


どう言葉にしていいか分からない私は、必死に頭の中で文章を組み立てます。


そして──





「西新くんって、私の事好きですよね!?」


「へ?」


「あ……」


(ま、間違えましたぁぁぁぁあ!!)

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