第236話 文化祭

『文化祭』


これは戦争である──と、クラスメイトの誰かが言っていた。


如何に客の足を止めさせられるか。

如何に客を満足させられるか。

如何に客が、「あの店良かったよ〜」と、噂してもらえるように振る舞えるか。


そして、そのクラスメイトはこうも言っていた。


「このクラスなら100%、最優秀賞が取れる!」と──





「4名様入りますー!」


「パンケーキ2つお願いしまーす!」


「行ってらっしゃいませお嬢様〜」


文化祭1日目。

我らが2年C組の前には、圧倒的な列ができていた。


当初、看板娘として、1番楽なポジション取りを任されるはずだった僕はというと、悲しいことに厨房でデザート作りに励んでいる。


なんでも、クラスメイトの1人が何故か僕がファミレスで厨房のバイトをしているのを知っていたらしく、みんなはそれを知るや否や、すぐに僕をシェフ長に命名した。


更に……


「見て見て!あのパンケーキ作ってるあの子!

可愛くない!?」


「あの子、浜辺くんでしょ?男の子だよ?」


「え!?あの子が!?

なんていうか、女子よりも女子っぽくない!?」


と言った具合に、ちょっと一応男の僕としては、少し悲しくなるような声も聞こえてきたりするのだ。


しかし、無愛想に振る舞うのは厳禁だと言われているので、目が合ったその2人に一応ニコリと微笑みかけてみた。


「「きゃー!!!」」


(は、早く帰りたい……)

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