第235話 手紙の正体
「もう無理です〜!!!!!!」
そんな声が聞こえてきたのと同時に、何かがサッと図書館走り出ていく。
制服的に女子だったのはわかったが、それ以外は何もわからなかった。
「今の声……宝田さんっぽくなかった?」
「確かに……
でも、心夏は僕がここに来る前に帰ってたのは見たし、違うんじゃない?」
「あ、そうなんだ……
まぁそれより、手紙の中身だよね」
星宮さんは器用にセロハンテープを剥がして手紙を開けると、机の上で広げて僕にも見えるようにしてくれた。
その中身には……
「ラブレターじゃ」
「ない……?」
その中身は、特にどこかへ呼び出すようなものじゃなければ、告白するような文面でもなく、「お礼の手紙」だった。
「『振られて落ち込んでいた俺を励ましてくれてありがとう』かぁ……
力になれたみたいでよかったなぁ……」
「西新くん、普通に仲良くしたいって言ってるね」
確か西新くん「まずはお互いのことをちゃんと知って、知ってもらってから告白する」って言ってたし、そのために「まずは友達から」ってことか……
「うん……
私、前から西新くんとは仲良くできるかもって思ってたし、嬉しいけど、どうしたらいいのかな……?」
うぅ〜、と唸りながら回転式と丸椅子でくるくると回っている星宮さん。
仲良く……仲良く、かぁ………
そういえば、前に真田さんが『仲良くなるにはあれが1番!』とか言ってたなけど……
とりあえず、提案だけでもしてみよう。
「えっと、とりあえずデートしてみたら?」
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