第223話 逆でしょ

心夏と美雪さん、星宮さんのお母さんに全員の自己紹介が終わった後のこと……


「貴方が葉幸くんね……」


「なるほどなるほど……」


何故か心夏と星宮さんのお母さんから値踏みするように見られる僕は、この状況をほとんど理解できないでいた。


(なんていうか、みんなの親御さんも一緒に食べるって言うのまではわかるんだけど……)


今変な風に見られているのもそうだけど、この2人の母親は時々、ニコニコとした表情で笑い合っているのだけど、どうにも違和感があるのだ。


「「葉幸くん(浜辺くん)は、好きな子はいるの?」」


「え?好きな人、ですか?」


なんの脈絡もなく、突然爆弾を投下してくる2人に僕が「いませんよ」と答えようとした所で……


「ちょっとママ!やめてよ!」


「お母さんも!葉幸くん嫌がってますから! 」


「「え〜〜〜」」


駄々をこねる母親に、それを宥める娘。


それ、逆じゃない……?


「「いや、逆でしょ……」」


僕が心の中でそう思ったのと同時に隣から2人分の声が聞こえてくる。

どうやら、マーさんも姉さんも同じ事を思っていたらしい。


そんな光景を3人で眺めていると……


「じゃあ、一つだけ聞かせてよ〜」


美雪さんのお母さんが立ち上がり続けて言った。



「この中で付き合うとしたら、誰がいいと思う?」

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