第219話 障害物競走①

眠っていた葉幸くんを起こして事情を説明し終えてから約5分。

すぐにその時間はやって来ました。


『さ、さぁ!

次の競技は2、3年生による障害物競争です!』


その瞬間に、会場は『わぁーっ!』と盛り上がります。

そして、私もこんな会場の影響を受けたのか、なんとなく緊張が解れてきていたところで……


『ルールは簡単。障害物を乗り越えるだけ。

ではさっそく、2年生のみなさんから準備おねがいしまーす』


葉幸くんの棒読みアナウンスを受けて、2年生のメンバー6人がスタートラインに並びます。

その中には、自信満々な表情の美雪ちゃんとマーちゃんもいます。



『よーい……』


パンっ!!!


ピストルの音が響き、一斉にみんながスタートを切ります。


『赤組と白組、はやいです!』


スタートから、他の4人よりも圧倒的に早いスピードで走り、障害物を乗り越える2人。

赤のハチマキのマーちゃんと白の美雪ちゃんです。


『赤組、少しリードです!

白組も頑張ってください!』


しかし、運動能力ではマーちゃんに軍配が上がるのか、少しずつ、2人の差が広がっていきます。


しかし、平均台を突破したマーちゃんに、最後の強敵が待ち受けていました。


『赤組のマー……じゃなくて、ロータスさん!

必死にジャンプしていますが、あと少しのところで届きません!!!』


宙高くにぶら下げられたパンを咥えるべくマーちゃんは必死にジャンプしますが、なかなか届きません。


その間に……


『赤組のロータスさんがパンを取れない間に、白組の生駒さんがトップに躍り出ました!!』


マーちゃんは、抜かれたのに気づいて焦っているようで、さらにぴょんぴょんとジャンプをして……


『ゴール!

1位、白組!2位、白組!3位は赤組でした!』


ついに、マーちゃんがパンをゲットしたところで、全員がゴールしてしまうのでした。


(マーちゃん……

ど、ドンマイです!)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る