第210話 イケメンくん
「ここで、いいのかな……?」
放課後。
僕は屋上にやってきていた。
なぜこんな所にやってきたかと言うと、その原因は僕の右手に握られた小さな紙切れにあった。
『放課後、屋上でまっています』
そう短く、可愛らしい丸文字で書かれたそれは、僕の下駄箱の中で朝発見したものだった。
一体なんの用なのかと、しばらく考えているとガチャ、と屋上の扉が開いた音がする。
振り返ってみると、そこには手紙を書いたであろう女の子──ではなく、イケメンの男の子が立っていた。
「すまない、待たせたな」
「大丈夫です。今来たところですから」
イケメン男子は颯爽と僕の前までやってくると、何故か少し頬を赤くさせた。
「きてくれてありがとなっ……
実は、少し話があってな……」
「う、うん。えっと、話っていうのは……?」
「あぁ、それがな……」
男の子は、少しずつ、僕の方に一歩一歩近づいてくる。僕はなんとなく嫌な予感がしつつも、イケメンくんが一歩歩み寄る度に一歩下がっていたが……
「あっ……」
ついに、壁まで追い込まれてしまう。
「あ、あのっ……」
ドン!
イケメンくんの手が、僕の顔の横の壁に勢いよく叩きつけられ僕とイケメンくんの距離が一気に近くなる。
「俺、実は──」
「ま、まってください!」
僕は、もう今しかないとばかりに精一杯の声を出した。それにビックリしたのか、イケメンくんも少し動揺している。
「そのっ……
僕、男ですから……」
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