第209話 実行委員決め(後半)

「それじゃあ、女子の体育祭の委員は──」


「やります」


悲しいことに、クラスの男子が誰一人として立候補しなかったために僕が体育祭と文化祭の委員に決まってしまった後。


女子の委員決めが始まった瞬間、誰よりも早く手を上げたのは心夏だった。


「え?えっと心夏?いいの?」


「何がですか?」


不思議そうにしている心夏は本当になんの事か分からないらしい。


「いや、僕とペアになったりしたら苦労をかけると思うし……」


「そんなことですか……

心配いりませんよ。そんなことは分かってます。

それでもやりたいんですよ」


ニッコリと微笑む心夏。

その天使のような笑顔にクラスメイト数人が涙を浮かべる。


『うぅ……

生きててよかった……』


『天使の羽が……見える、見えるぞ……!!!』


「えぇい!いい加減うるさいぞ有象無象ども!

それで、宝田がやってくれるってことでいいのか?」


そして、そんな生徒達を割と強めの言葉で黙らせる先生。うん、いつも通りだね。


「はい、構いません」


「それじゃあ決定だな!

次は文化祭の実行委員だ!」


こうして、心夏は僕と一緒に体育祭実行委員会に入ることになった。


ちなみに、心夏は文化祭実行委員にも立候補しようとしたものの、残念ながら「1人にそんなには任せられない」と言われて却下されていた。



あれ?僕、1人に任せられてますけど……

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