第201話 女の子が着るやつ

「「裁判長!異議あり!!!」」


突然、声を合わせて変なことを言い出す心夏とひよりさん。

よく分からないけど、仲がいいみたいで何よりだ。


そんな2人を見て、うんうんと頷いていた僕を他所に話は進められていく。


「うむ、発言を認めよう」


謎に裁判長気取りで偉そうな美雪さん。

うん、いつも通り、平常運転だ。


「「なんで葉幸くん(さち)は浴衣なの(なんですか)!?」」


「知らん!可愛いから放置してた!」


美雪裁判長は裁判を放棄した。


(というか、僕の服装変なのかな……?)


姉さんに「お祭りに行く」と伝えたら「祭りと言えばこれだよ!」と渡されたので言われるがままに着せられたんだけど……


「えっと……変、かな……?」


『物凄くお似合いです』


「そ、そう?」


まるで打ち合わせしたかのように3人が声を揃えて同じ答えを口にする。


しかし、そんな3人とは違い、僕の後ろに隠れていた星宮さんは重要な真実を口にした。


「浜辺くんっ、それ女の子が着るやつだよぉ……」


袖をチビっと掴んでいる星宮さんに「マジ?」と聞くと「マジ……」と帰ってくる。


なるほど、つまり姉さんは僕を罠にハメたと、そういうことですね?


それなら僕は……


「無理!もう帰──」


もう早く家に帰って、テレビ越しに花火を見てやろうと決意したその時、誰かに肩を掴まれる。


振り返ると、僕の肩を掴んでいた心夏とひよりさんは妙にニコニコ顔でこう言った。


「葉幸くん?」


「さち?」


「「今日は夏祭り一緒に回るって約束したよね?」」

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