第199話 お誘い

「ねぇさち、夏祭りいかない?」


バイト終わりの帰り道。別れ際にひよりさんはそんな提案をしてきた。


「夏休みって、近くの神社であるあれですか?」


たしか明日から3日間にかけて行われるそこそこ大きなお祭りだったはずだけど、子供の頃に数回程度にしか行ったことがないのでどんな感じだったかは覚えてない。


「そうそう。さち、暇でしょ?」


「そうですね……

あまり人混みは好きじゃないですけど、興味もありますし……

じゃあ、僕も夏祭り、一緒に行ってもいいですか?」


すると、僕の答えが余程嬉しかったのかさっきまでの緊張した表情から一気に可愛らしい笑顔に様変わりした。


「それじゃあ!集合場所とか時間とか、後でメッセージするね!」



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家に帰って、さっそく夕ご飯の準備を始めようとしていたところで珍しく携帯に電話がかかってきていた。


画面には『心夏』と表示されている。


『あ、繋がった。こんばんは葉幸くん』


「うん、こんばんはどうしたの心夏?」


『えっとね、葉幸くん明日近くの神社で夏祭りがあるの知ってる?』


「うん。それがどうしたの?」


『もし良かったらなんですけど……

一緒にお祭りいきませんか?』


一緒にお祭りかぁ……。

まぁでも、心夏とひよりさんは面識もあるし大丈夫か


「うん、ちょうどお祭り行く予定にもなってたし心夏も一緒に行こう」


「あの葉幸くんがお祭りに来てくれるなんて!?

これって何かの夢でしょうか!?」


「いや、自分から誘ったんだよね?」


「冗談ですよっ。それでは、明日の集合場所や時間なんかはメールで連絡しますね!」


「あ、1つ言い忘れた事が──」


ひよりさんも来ることを伝えようと思ったけど、まぁいっか……


僕は通話終了の画面から目を離して、夕ご飯の作業に戻るのだった。

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