第198話 復活

「真田く〜ん!Bランチ2つ〜!」


「了解!」


お昼の忙しくなってきた時間に、そんな2人の声が店内に響き渡る。


真田さんはテキパキとした動きで料理を作り終え、それをひよりさんに運んでもらう。

まさにいつも通り。いや、それ以上の手際の良さだ。


「さちく〜ん!チョコレートパフェ4つ!」


基本的には、忙しくなる12時〜13時くらいまでの間は真田さんがメインの料理を、僕がデザートの担当になっている。


「はい、ひよりさん」


「ん」


僕も出来上がったパフェをひよりさんに運んでもらう。ひよりさんも、真田さんがいつも以上に働いているのをみて妙にやる気になっているみたいだった。



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「真田さん、今日の仕事っぷり凄かったですね」


「そうか!?さちにもそう見えたか!?」


着替え室で、「疲れたぁ〜!」と背筋を伸ばす真田さんにそう声をかけると、何故かすごい勢いで僕にそう確認してきた。


「は、はい。見えましたけど……

何かあったんですか?」


実のところ、僕も姉さんが昨日のプールでどんなことをしたのかは知らない。


というのも、昨日家に帰った時に姉さんに聞いてみたものの「う〜ん、秘密かな?」といって教えてくれなかったのだ。


いやまぁその後で、「知りたい?どうしても知りたい?知りたいならぁ──」と、言う感じでめんどくさい絡みをしてきたので「疲れたからもう寝るね」と言って逃げてしまった。


そんな僕に真田さんはというと……


「実は凄く情けない話なんだけど……

昨日葉柚さんが、『お仕事とか頑張ってる人ってかっこいいよね!』って言ってたのを聞いて……」


「あぁ、なるほどね……」


つまり、姉さんにカッコよく見てもらいたいという思いが今日の結果に繋がったわけだ。



(にしても、好きな人かぁ……)


自分にはあまり縁がない『恋』という感覚。

知りたくても知りようのない感覚を、『恋』に落ちた時自分ならどうするのだろうと、僕は頭の中で想像しながら姉さんと一緒に家に帰るのだった。

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