第196話 ケジメ
真田くんが助けに来てくれてからすぐの事。
まだ目が赤くなっている大男は、私たちの様子を観察するなり自分から素直に謝ってきた。
「本当に済まなかった!!!
もちろん、許して貰えると思っちゃいねぇ。
ねぇちゃんに酷いことをしちまったからな……
でも、これだけは言わせてくれ──」
大男は、真剣な表情のまま、こう続けた。
「──もう、こんなことは一生しないと誓う。
そこのにぃちゃんを見て気づいたんだ。こんな事してる男より、勇気を振り絞って立ち向かえる男の方がよっぽどかっけぇって事に。
だから、ここで1つケジメを付けさせてくれ」
「ケジメ、ですか……」
正直、私としてはもうこの人は充分反省していますし、彼の言葉が本心から放たれていることはよく分かったのでそれだけで充分なのだ。
だったら──
「だったら、アイスクリーム2つ買ってきてくれないかな?それでチャラでいいよ?」
真田くんの方を見ても異論はなかったようで、コクリとだけ頷いてくれた。
「それじゃあ、このトイレの前にあったベンチに座って待っているのでよろしくお願いしますね?」
「分かったぜねぇちゃん!
すぐ戻るからな!!」
そのまま、男は直ぐに走り去っていくと、その場には私と真田くんの2人っきりになった。
「と、とりあえず向こうのベンチに座って待ってようか?」
「そ、そうですね!」
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