第189話 ラブコメ主人公

「えっと、宝田さん、だったよね?」


「はい、お久しぶりですね、真田さん?」


俺は今、自分がラブコメ的な何かの主人公なのではないかと錯覚仕掛けていた。


礼儀正しく挨拶をしてくれた、前に厨房を見学してくれた超絶美少女宝田さん。そして何故か美少女的な雰囲気を放つさち。


そして極めつけに……


「は、葉柚さん……っ!」


我が愛しのマイハニー、女神様の降臨だ。


しかも、3人とも水着姿で。


これをラブコメ主人公と言わずして何という?


道化?

ハッ、君たち、さては俺が羨ましいんだな?そうなんだな?まったく……素直になりなさいな君たち。

え、ほんとに違う?あ、そうなんだ……



まぁそんなラブコメ主人公な俺を今日、こんな素晴らしい会に呼んでくれたのは他でもない。未来の義弟であるさちだ。


なんでも、前々からプールに行く話になっていたらしいのだが、男1人に女2人というのは少しバランスが悪いということで俺が呼ばれたらしい。


「葉柚さん、とっても似合ってい──」


男が女の子と遊ぶ時の基本。1番最初には服装を褒めるを実行しようとした時にその重大な事実に俺は気づいてしまった。


(なんてことだ……)


知らない間に美少女百合……ではなく、

美男美女カップルがいなくなって葉柚さんと2人きりじゃないか……


「どうしたの、真田くん?」


そんな、2人っきりになっただけでまるで童貞をこじらせた大学生のように動揺する俺(全て事実)の顔を覗き込んでくる女神様。


(あぁ……

俺、もう死んでもいいや……)

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