第186話 電車

BBQが終わり、

その後もみんなで騒ぎに騒いだ後の事。


帰りの電車の中では、みんなぐっすりと眠っていた。


もちろん6人で座れる席はないので4人掛けのボックス席に美雪さん、マーさん、星宮さん、心夏で座っていて通路を挟んでその隣の2人席に僕と姉さんが座っている。


──なんというかこうしてみると……


ちらりと目だけを動かしてみんなの方を見て深くため息をつく。


(昔の僕が今の僕を見たら、どう思うかな?)


昔の自分のことを想像しながら、半年くらい前の、心夏と初めて話した日の事を思い出す。


こんな風になったのは、僕自身も悪かったと思う。


(まぁ、悪いていうのは少し違うかな?

今はちょっと──いや、すごく楽しいし)


考えてみたけど、やっぱり昔の自分だって、こうやって友達と一緒に遊んだり出かけたりすることを心のどこかでは夢見てたんじゃないかと思った。



「みんな、ありがとう……」


そんな、誰にも聞こえていない感謝の言葉を口にしていたことに自分自身でも気づくことなく、僕はそのまま目を閉じた。



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3時間後……


「葉幸くん!起きてください!」


「浜辺くんっ……」


「葉幸!早く起きて!」


「眠り姫ちゃ〜ん」


「さちくん、早く起きないとやばいよ!」


そんな5人の声で僕は目を覚ました。


「みんな、おはよぉ……」


そういえば電車の中だった……

もう目的地についたのかな?


そう思って、窓の外を見ると……


「え!?ここどこ!?」


見たことの無い駅名が……

見たことが……無い?


いや、この駅名、どこかで……


「葉幸くん!私たち、全員寝ちゃってて終点の駅まで来ちゃったんだよ!早く次の電車に乗り換えないともう帰れなくなるよ!!」


あ、そっかそっか♪

どこかで聞いたことがある駅名だと思ってたら終点だったのか〜……って!


「次の電車何分後!?」


「2分後に、反対側のホームです!」


「2分!?早く行こう!!」


僕達は高速で電車から降りると、反対ホームまでの階段上り下りを全力ダッシュでなんとかこなして、ギリギリ電車に間に合うことができた。



もちろん、乗り過ごしたせいで家に帰った頃には日付が変わってしまっていたことは当然の事だった。

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