第182話 アメちゃん

※なんか勢いに任せて書いていたら、

ものすごく長く(自分基準)なってしまいました……

ごめんなさい……



「ほんとうにすまんやった!!!」


「いえ、その……

こっちも感情的になりすぎていました。

ごめんなさい」


心夏がやって来てから5分。

冷静になった僕とじいさんは、心夏の仲立ちの元で1度お互いの話をすり合わせた結果和解することに成功した。


「ほら!お前もあやまらんか康生こうせい


「すみませんでした……」


この事件は、康生くんが僕達がお賽銭ドロボウと勘違いしたことから始まった事件だった。


どうもこの神社は、近頃賽銭ドロボウの被害に悩まされていたらしく、今日は康生くんが見張って、犯人を捕らえようとしていたらしい。


「まぁ、一大事にならなくて良かったですね?

大丈夫ですか、葉幸くん?」


心夏が心配そうに顔を覗き込んでくる。


僕は大丈夫なのだけれど、

それよりも今問題なのは……


「もぅ無理ですっ……

自分も他人も信じられませんっ……」


現在、星宮さんは僕の膝に顔を埋めて泣いているようだった。


すると、そんな星宮さんに近づいたじいさんは……


「ほんとに、わるかったなぁ……

お詫びと言うにはちと弱いけど、飴ちゃんいるか?」


そういったじいさんが、ポケットからパイン味のアメを取り出すと……


「アメちゃん……アメちゃん、ですか!?」


星宮さんはガバッと起き上がりじいさんに「もらっていいんですか!?」と聞いた。


(あれ…?

星宮さん、そんなにアメ好きだったっけ……?)


記憶の中では、そんな話は1度も出てこなかったはずだけど……


すると僕と同じように疑問に思った美雪さんが、星宮さんに直球で「アメ、そんなに好きなの?」との質問をした。


しかし、星宮さんはそうではなかったみたいで……


「いえ、アメが好きという訳ではないですけど……

でも、大阪の方では、おばさま方が友情の証としてアメちゃんを交換するという話を聞いたことがあって、つまりそれって「アメちゃんいる?=友達になろ?」になる訳じゃないですか?

こんな私に、そんな事を言ってくれているのに、そんなの見過ごせるわけないじゃないですか!

残念ながら、今日は交換用のアメは持ってきていないんですけど……」


いや、それは違うでしょ。なんてことを僕達全員は確かに思ったはずだけれど、誰一人としてそれにツッコむことは出来なかった。


というかむしろ、さっきまで泣いていた星宮さんを一瞬で笑顔にしたアメちゃんには僕達も敬礼するしかないだろう。


というか、「今日は」って事は、いつもは交換用のアメを持ち歩いてるってこと?


(星宮さん、友達作りに全力すぎる……)


そんな、友達作りに対する意識の高さに、僕は心の中で今日2度目の敬礼をした。



しかし、さぁ全部解決して戻ろうとなったその時。

第2の事件が発生してしまったのだ。


その事件とは──


「やっほーさちく〜ん!」


「みんな揃っていますね!どうしたんですか?」


マーさん、と……


「何か、抱えてる……?」


大型の何かを抱えた姉さんだった……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る