第176話 しつこい男たち

「いや、そういうのは困ります……」


「いいじゃんいいじゃん!ちょっとだけだからさ?」


「そもそも僕、男なんですって…」


「あ〜はいはい。そういう設定ね。

それよりさ、とりあえずあそこの店で話だけでもして行こうぜ?な?」


「嫌ですっていってるじゃないですか!」



この男3人組、しつこい!!!


何こいつら?何ナンパとかしてくれちゃってんの?

友達と来たんだからそんなしょうもないことしてないで遊べよ!!!


「とにかく、僕はもう行くので──」


「待ってくれよ!」


その瞬間、男にガシッと腕を掴まれてしまう。

もちろん、相手は男なので、女の子(並の力)の僕に勝てる要素はない。


「離してください!」


と、そんな風に精一杯叫んでいると、ついに助け舟の存在が現れた。


「ちょっと!あんた達それくらいに──」


「うっせービッチ!

俺はお前みたいなきゃぴきゃぴした、ギャルみたいな女が1番嫌いなんだ!この子の清楚さを見習え!」


美雪さんは、男たちのそんな発言に心をおられたのか膝をガックリおって肩を震わせている。


「わ、私ビッチじゃないもんっ……」


「分かってます!僕は分かってますから美雪さん!

泣かないでください!」


続いて、もう1人の助け舟、マーさんが……


「葉幸も困っていますし、その辺で──」


「うっさいぞ巨乳!

この子のこの控えめな胸部を見習え!」


マーさんも膝を折り、

美雪さんと同じような状態に……


「この胸は、やはり罪だったのですね……」


「いや、罪じゃないですから!

この人たちが特殊なだけで、大多数の人にとっては、むしろ正義ですから!」


僕は必死に2人をフォローするものの、どうやら男たちの言葉が深く刺さったらしく、2人はもう立ち直れない模様。


「というか、この状況何……」


貧乳派のナンパ男3人組。

戦意喪失の美雪さん。

巨乳が罪だと悟りかけているマーさん。


現場は既に、収集のつかない状況に陥っていた……

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