第171話 別荘
夏休みが始まってから少したった、世間では平日のその日。
僕達は、夏休み1日目に集まったメンバーで、バカ母さんがノリと勢いで建てた別荘にやってきていた。
近くには徒歩1分くらいの場所に海もあって、ベランダからの眺めも凄くいい別荘なのだ。
僕が玄関前の庭で日傘をくるくると回してぼーっとしていると、星宮さんが一番最初に、準備を終えてやってきた。
「ごめ〜ん!待たせちゃったね」
「うん、熱中症になりそうなくらいには待った」
「うわぁ!海、青い!」
星宮さんは僕の冗談を無視して、キラキラとした目で目の前に広がる海を眺めながら「海では何をしたらいいのかな…?スイカわりとか…?あ、バレーとかもかな?」なんてひとりごとを呟いている。
やけに興奮気味なのは、海を前にしてということもあるのだろうけれど、みんなでこうして遊びに来れたことが何よりだろう。
──僕もなんだかんだで、楽しみだったりするしね
こうして家族以外の人間と旅行みたいなことをするのは当然僕も初めてなのだ。
「にしても、星宮さんはもうみんなとは話せるようになれたの?」
僕に対しては、何故か最初から「仲間じゃないですか〜」なんて言ってかまってちゃんなところを見せたりしていたが、残念ながらそれは僕が星宮さんと同族だったからであって、姉さんや心夏は僕達とは最早真逆の種族といっても過言じゃない。
しかし、そんな心配も杞憂だったようで、
「はい!みんなにはとても良くしてもらっています!ちょっとした冗談も言えるようになったんですよ?」
と返してくれた。
そうして、ちょうど会話が終わったところで姉さん達残りの4人もやってきた。
「よーし!それじゃあ海へ、れっつごぉ〜!」
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