第168話 おじさんとキノコ
「宝田心夏です。
よろしくお願いします、星宮さん」
「生駒美雪だよ〜
よろしくね!」
「留学生のマーガレット。
よろしくね、さっきー」
リビングで何やらテレビゲームをしていたらしい3人は、私が部屋に入ってきて、浜辺くんから紹介があると、すぐに私の方に駆け寄ってきました。
私は3人まとめての自己紹介にあわあわしながらも、なんとかコクコクと頷くことができました。
その間も浜辺くんは優しく頭を撫でてくれています。
(やっぱり、落ち着きますね……)
こうして頭を撫でてもらうのは、なんだか昔おばあちゃんに撫でてもらった時みたいな安心感を感じます。
なんというか、最近は浜辺くんから子猫のように扱われているように感じる時もありますけど、まぁ悪い気はしていません。
(あ、緑の亀が赤い帽子のおじさんに……)
落ち着いたところで、放置されたゲームのテレビ画面の方に目を向けてみると、どうやらダンジョンに入りっぱなしだったようで今は赤い帽子のおじさんが緑の亀にぶつかってやられてしまったところでした。
「と、とこで葉幸くんは、なんで星宮さんの頭をそんなになでなでなさっているんですか?」
(今度は緑帽子のおじさんキャラが……)
「いや、こうしてると星宮さん落ち着くらしいんだ」
「そういえば、さっきから咲美子ちゃんと眠り姫ちゃん仲良すぎじゃな〜い?」
(あ、黄色のキノコ頭のキャラまで……)
「いや、普通に同じ委員会の友達みたいな感じなだけだから。1年の頃から話す仲だったしね」
「「「「ふ〜ん?」」」」
「──!?」
ふとゲーム画面から目を離したら、女の子4人組が私を疑いのこもった目でみてきてるんですけど!?
「あ、あのっ、その……
赤い帽子のおじさんが死んでしまいましたよ!」
『…え?』
なんか、私悪いことしちゃったかなと思ったから謝ろうとしたのに別のこといっちゃったぁぁぁ!!!
「ち、ちがくて──」
「あ、もしかして星宮さんゲームがしたいんですか?
それじゃあみんなでやりましょうよ!」
「いいね!やろやろ!」
「私は緑のおじさん!」
「では、ここは僭越ながらこの美雪。リーダーとも言える赤のおじさんの役を務めさせていただきます」
「じゃあ私は黄色のキノコですね」
早々にコントローラを確保した3人は、残り一つのコントローラを私の私に差し出してきました。
「星宮さんは青のキノコですよ」
「キノコ兵士よ、リーダーたる私についてきなさい」
「緑のおじさんも忘れないでね!」
「あの、えっと……
──よ、よろしくお願いします!」
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