第167話 妹にしてもいいかな?
「えとえとっ、
無理言っちゃったけどほんとにいいの?」
僕の家の玄関前まで来て、もう一度再確認してきた星宮さんは緊張しているのか少し震えている。
なぜ星宮さんが僕の家に来ているかと言うと、図書委員会終わりに星宮さんから「夏休みの間に、人と喋れるようになりたいんです!」と相談を受けた僕が「ならまずは、僕の友達から」となったからだ。
──とはいえ、まさか今日行きたいと言うとは思ってなかったけど……
「うん。みんな凄くいい人だし、星宮さんも仲良く出来ると思う」
「そ、そうですか……」
僕はそんな星宮さんの頭を優しく撫でてから、玄関の扉を開けて家の中に入っていく。
「ただいまー」
「お、お邪魔しますっ……」
すると、すぐにリビングの方から「あ、さちくん帰ってきた!」という声が聞こえたのと共に姉さんがやってきた。
「おかえりさちくん!
……と、星宮さん、だったよね?」
「………」
星宮さんは、いつも通りカチカチに固まってしまっている。
そんな星宮さんを見て、姉さんはと言うと……
「か、かわいい……
この子、妹にしてもいいかな?」
なんてことを言い出した。
僕は星宮さんの頭を撫でてあげると、ハッとした表情の後、ゆっくりと話し始めた。
「えっと……星宮咲美子、です………
趣味は読書で…運動は苦手で……
えっと、それから──」
そんな星宮さんに、姉さんは一度ギュッと抱きついた後、目線を合わせて子供に語りかけるように優しく話した。
「無理して喋らなくて大丈夫だよ?
私とも、仲良くしてくれると嬉しいかな。
よろしくね、さきちゃん」
そんな姉さんの言葉に、星宮さんは俯いてそわそわした後、その次には満面の笑みで姉さんによろしくの言葉を返し──
「きょ、今日はいい天気ですね!」
『………』
さすがに言い間違えだったのか、星宮さんは恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にさせる。
(いや、まぁお願いしますと今日はいい天気ですねを間違える人なんてそういないと思うけど……)
「ち、ちがくて!
よろしくおにゃ──……お願いしましゅ……」
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