2.5章 みんなで楽しい夏休み!
第166話 幸せが逃げる
夏休み1日目、僕は悲しいことに先生に呼び出されて図書館にやってきていた。
──今頃、姉さんや心夏は家で夏休みの予定を組んでるんだろうなぁ……
夏休みといっても、僕は基本バイトしか予定は入ってない上に、バイトは必ず姉さんと一緒に入っているため、姉さんは僕が遊べない日を完全に把握しきっている。
そして、その予定組みに僕が不参加ともなれば、間違いなく姉さんがいろいろ勝手に決めてしまうことは分かりきったことだった。
「はぁ……」
僕は、先生に頼まれた通りに今日この学校にやってきた新品の本達を順番通りに棚に入れていく。
「どうしたの?
ため息なんかついちゃってたら幸せ逃げちゃうよ?」
「星宮さん、知ってる?
ため息をつくと幸せが逃げるっていうけど、その幸せと一緒に不幸も逃げていくから、総合値としてはプラマイゼロなんだよ?」
反対側の本棚からチラリと顔を覗かせた星宮さんにそんなことを言ってみると……
「そ、そうなんだ!知らなかったよぉ!」
などと言ってメモ帳に何やら書き記しはじめる。
僕は慌てて最後の本を棚に丁寧に入れると、星宮さんの方に合流して何を書いているのか覗き込んでみる。
そこには……
『ため息はどれだけついても大丈夫!』
と書かれてあった。
「あの、大変言いずらいのですが……
冗談です」
「じょう…だん……?」
「うん」
数秒間の沈黙。
よく分からない空気が僕達の間に流れたところで……
「もうもうっ!やってくれましたね!!!」
星宮さんお得意の、ポカポカ叩くが発動。
僕は1分もの間、星宮さんに叩かれ続けるのだった。
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