第150話 強カード

──9ターン目


「「「「王様だ〜れだ!」」」」


「あ、僕だ」


山札から4枚のカードを引くと出たカードは……


『指名した2人の位置を入れ替える』


『任意のタイミングでスタートをゴール、ゴールをスタートに入れ替えることができる』


『借金がある場合、マイナスをプラスに反転する』


『プレイヤー1人を選んで、スタートに戻す』



(なんでこんな強カードばっかり……)


さっきまでは、割とゲームにそこまで響かないようなちょっとした物しか無かったのにここにきて突然のこれだ。


(借金反転は姉さんにやるのは絶対ダメだ……

姉さん今借金10億あるし……)


姉さんの借金は、先程からずっと不幸マスにとまり続けていて増え続けている。

もしこのカードをわたしてしまえば、一気に所持金では2位になってしまう。


「じゃあ、2番が──」


「──っ!」


(心夏の眉が少し動いた!ここは──)


心夏は現在の所持金ランキングでは2位。

ここは1番必要ない心夏にこのカードを渡すべきだ。


「このカード!」


少しの沈黙。そして……


「やったぁ!借金反転だぁ!」


「え?」


姉さんの借金が反転されてしまった……


でも残りは心夏とひよりさん!ひよりさんはまだスタートからあんまり進めてないし、スタートとゴールが入れ替えられるカードは1番だめだ。


つまりこのカードは心夏に……


「次は、1番が──」


誰も反応がない?

と、言うことは今度こそ心夏だ!


「このカード!」


「え!?何このカード!

ありがとうダーリン!!!」


ひよりさんが抱きついてくる。

対して、心夏は少し不機嫌そうだ。


「心夏はこのカードで」


僕は心夏に、スタートに戻すカードを手渡した。


しかし、僕は何も考えずに渡したこのカードが後に僕を苦しめることになることをまだ知らないのだった……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る