第149話 ストップ!

「えっと、それじゃあいきます……」


「は、はい……」


葉幸くんは説明書に視線を逸らすばかりで私は真っ直ぐ葉幸くんを見ているのに目が合いません。


説明書には、告白用の定型文が書いてあるのでそれに沿って読むようになっています。


「心夏。僕ずっと前から心夏のこと──」


「はいストーップ!」


「な、何?姉さん……」


葉幸くんは顔を赤くしていて、恥ずかしそうにしています。


「説明書に書いてあるよね?

相手の目を見て真剣に告白しましょうって」


「べ、別にゲームなんだし……」


「ゲームでも、お姉ちゃんは妥協を許しませんっ」


「分かったよ……」


観念した葉幸くんは、

真っ直ぐと私を見ると1度深呼吸をして……


「僕は──」





「ストップ!!!!」


簪さんは、1枚のカードを手に持って立ち上がると、『使用済みカードBOX』にカードを投げ入れます。


そのカードは……


『略奪カード

相手の使ったカードの効果、止まったマスの効果、持っているアイテムのいずれかを任意のタイミングで1つだけ奪うことができる』


「略奪!?まさか……」


このタイミングで使ったということは、つまり私の告白チャンスの効果を奪って自分に向けるということでしょう。


「やられました……」

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