第148話 わかりやすい人

──5ターン目


「「「「王様だ〜れだ!」」」」


みんなで同時にもっている棒を開示すると、私の棒の先端だけ赤くなっているものでした。


「あ、私ですね!」


もちろん、私たちがやっているのは王様ゲームではありません。


私は山からカードを4枚引くと……


『1ゾロダイスを付与する

(任意のタイミングで使用可能)』


『進めるマスが半分になる』


『止まったマス目の効果が2倍になる』


『1回やすみ』


ルールでは、王様になった人が引いた4枚のカードをそれぞれの番号の人に振り分けて残った1枚が自分のものとして適用されることになっています。


この番号選びが大事なのですが……


「では最初に、一番さんは──」


「うっ……」


簪さんから、小さな声があがりました。


「1回やすみのこのカードで」


「そんなぁ……」


と、このように露骨にわかりやすい人が1人いるのでとても楽です。


ちなみに、簪さんはこのせいでスタートからまだ3マスしか進めていません。


残りのカードも適当に割り振って結局葉幸くんがマスの効果が2倍、葉柚さんが進めるマスが半分になり、私は1ゾロダイスという出目が全て1のサイコロを手に入れました。


最初は葉幸くんの番です。


ルーレットでは7が出ましたが、その7マス進んだ先のマスは……


『宝くじがあたる。10億円獲得』


「2倍だから、20億……?」


一瞬で葉幸くんが所持金トップとなってしまいます。


続いて、葉柚さんは4が出て2マス進みます。


『株に失敗、1000万円失う』


「さちくん、代わりに払って♡」


「いやだ」


「お姉ちゃん借金になっちゃうよぉぉぉ」


そして、私の番が回ってきます。

私には特にカードによる効果がないので通常通り進めます。


出たマスは5でそのまま進むと……


『告白チャンス!!(一緒にプレイしているメンバーに恋人になっていない異性がいる場合に限り成立)

止まったプレイヤーは恋人のいない異性のプレイヤー1人を指名し、指名された相手は指名したプレイヤーに愛の告白(説明書参照)を行う。

告白後、2人は恋人となりマスの効果を共有する』

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