第115話 夜ご飯

「今日はここまでかな」


「疲れましたぁ……」


「心夏頑張ってたよ!」


気づけばもう7時と、休憩を挟んでいたとは言えかなりの時間ピアノについて教わっています。


コンコン


扉を叩く音がして、私たちは一斉にそちらの方を見ると半分開けたドアから葉幸くんが顔だけだして私に手招きしています。


「どうしたんですか?」


ドア付近まで来ると、葉幸くんがエプロンをしているのが分かります。


(な、なんて言うか……すごくいいです!!!)


「宝田達の分まで夜ご飯作ったんだけど、よく考えたら食べていくか聞いてなかったなーって思って……」


「そういう事でしたか。

でしたら頂いて帰ってもいいですか?」


「う、うん。ロータスにも聞いてきて貰えないかな?」


「はい、いいですよ」


ロータスさんに聞いてみると、「今日は夜ご飯ないから是非お願いします!」と、言っていました。



それから、リビングに移動した私たちの前には美味しそうなカレーが用意してありました。

ロータスさんと葉柚さんは余程お腹が空いていたのか、カレーを見るなり走って席に座ると物凄いスピードでカレーを食べ始めました。


「ありがとうございます、葉幸くん」


そんな光景を見守っている葉幸くんの横にならんでお礼を言うと、葉幸くんは驚いた顔をしました。


「いや、むしろこっちがありがとうだよ。僕はピアノの事とか分からないからこういうことでしかサポート出来ないけど、応援してる」


「──っ!そ、そうですか。

でしたら、もっと頑張らないとですね!」

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