第99話 教えて

「宝田さん、ごめんなさい」


試合が終わってすぐに、星梨さんは私のところにやってくると頭をさげてそう言いました。


「気にしてませんから、頭をあげてください」


「私、あんなこと言って……」


「いいんです。

たまにある事ですから、慣れています」


「でも……

何か私に、宝田さんのために何かできないかな……」


星梨さんは、申し訳なさが拭えないのか今も拳をギュッと握りしめています。


「何か、ですか……

でしたら、たまに私とバドミントンを教えてもらえませんか?」


「私が、教える…?」


星梨さんは不思議そうな顔をしています。


「はい。今まであまりやった事が無かったんですけどやってみると意外と楽しくってですね?

星梨さんに教えてもらえば私ももっと上手になれると思うんです!」


「でも、私ちょっと言葉がキツいとこあるって言われることもあるし上手く教えられないかも……」


「じゃあ僕も一緒にやるよ」


「いいんですか、羽柿くん?」


「うん。彩里1人だと心配だしね」


「健人それどういう意味……?」


羽柿くんの言葉をきいた星梨さんの目から途端に光が消えてしまいます。


「あ、やば。

宝田さん、ちょっと急用思い出したから先に行くから!」


羽柿くんはまとめていた荷物を持って逃げるように体育館から出ていくのでした

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