第95話 負けたくない
パンッ!
星梨さんのスマッシュが私の顔めがけて飛んできます。私は、反射的に腕で顔をガードして衝撃に備えました。
コンっ……
しかし、来るはずだったその衝撃は来ることがなく恐る恐る目を開けるとシャトルは相手のコート手前の方に落ちているのが目に入ります。
「大丈夫?」
隣に立っている葉幸くんが手を借りて立ち上がったところでようやく状況を理解します。
「ほしな──」
「今はやめとこうよ」
「そう、ですね……」
いつになく真剣な顔の葉幸くんに止められて、私は1度冷静になります。
一方で、星梨さんの方は……
「何やってるのよ
「ごめん。油断してた……」
2人は言い争いをしているようで、さっきまで声援を送っていた人たちの空気も少し悪くなっているように感じます。
「はい、あなた達のサーブよ」
葉幸くんは星梨さんがなげいれたシャトルを拾い上げて私にシャトルを手渡した時、一言だけ「この試合だけは負けたくなくなった」と言って元の位置に戻りました。
──葉幸くんの言っている通りですね。
絶対に負けたくありません
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