第93話 ギリギリ

「葉幸くんお願いっ」


「ほっ」


葉幸くんの返したシャトルはストンとコートの端に落ちました。


「やったね葉幸くん!」


「うん。結構危なかったけどね」


点差は21ー19で2点だけと、かなりギリギリでした。

でもこれで、次はついに星梨さん達との試合です。


葉幸くんは最初の試合の時と同様に先にコートからでていきます。


「いや〜。宝田さん上手いね〜」


間石まいしさん達もすごく上手でしたよ。点差もかなりギリギリでしたし、一歩間違えたら私達が負けているところでした」


「うーん。そうでも無いと思うよ?

かなり実力差があったと思う」


「そ、そうなんですか…?」


でも、点差的にもかなりギリギリだったのですがどうしてそう思ったのでしょうか…?


「あの、どうしてそうおも──」


「まいっしー、先いくぞー?」


「まいっしーって言うな!

ごめんね宝田さん。私いくね」


そう言って、間石さんは相方の男子の方を早歩きで追いかけていきました。


(理由聞けませんでしたね……)


ちなみに間石さんの「まいっしー」というのは、最近テレビなんかで有名なゆるキャラの名前です。


「へぇ〜?勝てたんだ。

たしか片方バド部だったと思うけど、まぁあの二人でこの点差なら私たちには勝てないと思うけどね?」


間石さんが居なくなって、葉幸くんのところへ戻ろうと思ったところで星梨さんが話しかけてきました。


「星梨さんはまたストレート勝ちだったんですね」


「当たり前でしょ?私達がそこら辺の虫けらに負けるはずないでしょ?」


「何度も言いますけど、やってみないと分からないんじゃないですか?」


「そうね。なら私はあなたが少しでも私を楽しませてくれることを祈って次の試合を待つことにするわ」

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