第92話 強がり

「勝てる?あなた達2人が?」


後ろを振り返ってみると、そこには星梨さんがいました。


「たとえ次の試合に勝ったとしても、その次に当たるのは私たちよ?万が一にでも勝てると思ってるの?」


「それはやってみないと分からないと思いますよ?」


半分は強がり。

でもここで「勝てない」と思ったら勝てるものも勝てなくなるから。

それに、絶対に負けたくない。


「1試合目の私たちの完璧な連携、見てたよね?

それに比べてあなたのペアはそのなよなよした女の子みたいな子なんでしょ?」


星梨さんは、嘲笑うように葉幸くんを見ます。

それに対して葉幸くんは──


「えっと、僕にも何か用があるんですかね?」


特に気にした様子もなく葉幸くんは星梨さんに話しかけました。


「何も──いえ、1つ聞きたい事があるわ。

あなた何で宝田さんとペアになったの?」


「何で…?勝手になってたから知らないかな」


「ふ〜ん。そう」


星梨さんはそれだけ聞いて満足したのか、「次の試合、勝てるといいわね〜」と意地の悪い笑顔をしながらペアの羽柿くんのところに戻っていくのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る