第77話 予想の90°上

「じゃあお疲れ様でした」


時刻は夜の10時、春休み限定の新しいシフトになってはじめてのバイトだったけど夜の時間帯は以外にお客さんも少なくて楽でした。


「簪さん、1人で大丈夫ですか?」


真田さんが帰った後、私も帰ろうとしていたところでさちが声をかけてきてくれました。


「さちこそ大丈夫?途中で倒れたりしたらまずいでしょ?」


心配してくれるのは嬉しいけど、さちはまず自分の心配をすべきだと思う。

特に今日は、葉柚さんが風邪で熱が出て休みのためにさちも帰り道は1人、心配で仕方がない。


そう思っていると……


「あ、姉さんからだ。なんだろう……」


さちはその場で電話をとり葉柚さんと話し始めた。


「うん。

………え?いやでも………

でも、今簪さんしか居ないけど?」


すると、話しているさちから私の名前が出てきて少しドキリとする。


──一体何を話しているのかな?


そう思っていると、さちが私に「姉さんが話したいって言ってる」と言って携帯を渡してきました。


「電話変わりました。どうしたんですか、葉柚さん?」


「こんばんは、ひよりちゃん。ちょっとお願いしたいことがあるんだけどいいかな?」


「お願いですか?」


葉柚さんにはいつもお世話になっているし断るつもりはない。

それに多分葉柚さんがバイトを休んでいる間やって欲しい事とかだろう。


「うん、今日から私の風邪が治るまでの間、さちくんを家に泊めてあげられないかな?」


うん、予想の斜め上とかの話じゃないね。

これ90°くらい上だねこれ

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