第78話 貸してあげる
「お邪魔します……」
「どうぞ」
簪さんの家にははじめて来たけど、バイト先からは徒歩10分もかからない場所にあった。
一人暮らしだと聞いていたが、とても綺麗だ。
「お風呂入りたいでしょ?準備するからちょっと待っててね」
リビングに案内されてからすぐに簪さんは部屋を出ていってしまった。
手持ち無沙汰になった僕は部屋にあったぬいぐるみなんかを眺めていると……
「可愛いでしょ?このうさぎさん、クレーンゲームでとったんだよね〜」
「可愛いけど、大きすぎるかな。
僕の部屋だと持て余しそうだよ」
簪さんが抱えて持っているうさぎのぬいぐるみは抱き枕と言われても信じるくらいには大きい。
「そういえば着替えどうしよっか?」
「着替えかぁ……。今日のところは今着てるこの服を着て、明日に家に何日か分の着替えを取りにいくってことでいいんじゃないかな?」
どうせ今日もバイト前までは特に何かしてた訳でもないから汚れてないし大丈夫だろう、そう思っていたけれど簪さんにはそうじゃなかったようで……
「ダメダメ!バイト終わりにちょっと歩いたりもして汗かいてるかもしれないのにそんなことは認められません!」
「え?でもそれじゃあどうすれば……」
「──じゃあ、私の服を貸してあげる」
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