第64話 行かせてください!

「心夏ちゃん、私ちょっとやらなきゃいけないこと出来ちゃったんだけど最後の商店街の案内お願いできないかな?」


葉幸くんの離脱からだいたい30分ほどしてそろそろ最後の商店街に向かおうとしていた時、葉柚さんはスマホを見るなり慌てた様子でそう言いました。


「私は構いませんよ。ロータスさんは?」


「私も大丈夫ですよ!」


(葉幸くんに続いて葉柚さんもですか……)


ロータスさんとは今日でかなり仲良くなれたと思いますし2人になる事にも特に抵抗はありません。

しかし、葉柚さんは今まで見た事のないくらいに動揺した表情をしています。もしかすると……


「──あの、葉幸くんに何かあったんですよね?

それって葉柚さんの代わりに私が行っちゃダメですか?」


その可能性が頭の中に浮上した瞬間、私は考えるよりも先にそう言っていました。

葉柚さんは予想外の発言にポカンとした顔になっています。


(ここまで来たならもう後には引き返せませんね……)


「で、でも──」


「私に行かせてください!元はと言えば、別れた時点で心配していたのについて行かなかった私が悪かったんですから!」


少しの間。

葉柚さんは考えていて俯いていた顔をあげました。


「……うん、分かった!じゃあさちくんの現在地データ送るからそこに向かってくれる?」


「分かりました!」

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