第65話 少しチクチク

葉柚さんから送られてきた位置情報のデータを元に、私は先程来た道を折り返してショッピングモール近くの川沿いの公園にやってきていました。


なんで葉柚さんが葉幸くんの位置情報を知ることが出来たのかが気になりますが、今はそんなことを言っている暇もありません。


公園はかなり広いのでそう簡単には見つからないだろうと思っていましたが意外にあっさりと見つかりました。


「……すぅ………すぅ…」


入口近くの芝生の斜面で寝転んでいた葉幸くんに駆け寄ると、ぐっすり眠っているだけのようでした。


(とりあえず連絡ですね)


『葉幸くん見つかりました。無事でしたよ』


『良かった!心夏ちゃんありがとうね!』


メッセージを送信すると、すぐに返信がありました。


『葉幸くんどうしたらいいでしょうか?』


もう眠ってしまっていますし、私一人では家に運べそうにありません。


『心夏ちゃん、そこでさちくんの様子を少しの間見ててあげられないかな?』


『はい、私は大丈夫ですよ』


『商店街の案内ももう少しで終わるからマーガレットちゃんと分かれたらさちくん回収しにいくからそれまでの間お願いね!』


『はい、任せてください』


そこで、私達のやり取りは終了しました。

隣に目を移すと気持ちよさそうに眠っている葉幸くんが目に入ります。


──芝生って気持ちいいんでしょうか…?


私は興味本位で葉幸くんの隣に横になってみます。


(少しチクチクする感じはありますが、思っていたよりも気持ちいいですね……)


でも、そんな感覚はすぐに感じられなくなってしまいます。

何故なら──


「……んん…」


「へ?」

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