第46話 厨房

「ここが厨房かぁ」


「思ってたより広いですね」


葉柚さんのはからいで、人がいない時間帯になれば特別に厨房を見学させてもらえることになった私達はお客さんに料理を出していた簪さんという人の案内で厨房に足を踏み入れました。


「ここの厨房は私達のチームだと2人で切り盛りしてるんだよね〜」


「2人でですか!?

すごいですね……」


美雪ちゃんはすごく驚いた表情をしていいます。


「あの、チームというのは…?」


「あー。うちね、シフトがチーム毎に決まってるんだよね。簡単に言うと毎回同じ人と仕事するようになってるってこと」


「なるほど……そういう事だったんですね」


「──おっ!そっちの2人がさっき話してた見学するっていう子達か」


厨房の奥から1人の男性の方がやってきました。

もしかしなくても、厨房を切り盛りする2人のうちの1人なのでしょう。


「えっと、お邪魔してますっ」


「はいはい、お邪魔されてます〜」


「あの、厨房には2人いると聞いていますけどもう1人の方はどこにおられるんですか?邪魔にならなければ挨拶だけはしておきたいのですけど……」


私がそう言うと、簪さんと男の人は顔を見合わせて困った顔をされました。


(どうしたんでしょうか?)


「あー、えっと。さち──もう1人の方なんだけど、客がいない時はほとんど寝てるんだよ。ほらそこ──」


そう言って簪さんが指さした方を見てみるとそこには、椅子に座って静かに眠ってい──


「……え?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る