第40話 美少女の計画 2

「ど、どうですか……?」


白のフリル付きの水着を来て試着室から出てくるとちょうどそのタイミングで葉幸くんと目が合います。


(恥ずかしいですね……)


なんだか今日は恥ずかしい思いをしてばかりだと思います。


(私ばっかりこんな思いをするのは不平等な気がします……)


しかし、そんなことを思っていたところでしたが今回は私だけではなかったようで……


「……いいと思う」


小さい声でしたが、確かに聞こえるくらいの大きさで葉幸くんはそう褒めてくれました。


(ふふっ。少し意地悪をしてみましょうか♪)


「えっと、聞こえなかったんですけど……

今なんと言いましたか…?」


すると葉幸くんはジト目で私の事を睨んできます。

もちろん私は知らんぷりです。


「……可愛いと思う」


「…え?」


い、今可愛いって言われませんでしたか……?


き、気のせいですよね!?葉幸くんはあんまりそういうことを口にしてくれるような人ではないはずです!


「今なんて──」


「もう言わない」


「そこをなんとかお願いします!」


「嫌だ」


葉幸くんはそっぽを向いて拗ねてしまいました。


また、わざとやっていると思われてしまったのでしょうね……不覚です。


結局、私は最初に着た白の水着を購入することにしました。一方で、葉柚さんの方はというと「秘密♪」と言って教えてくれませんでした。


(あとは、プールに誘うだけですね……)


とは言え、ここで失敗してもまだ2月のこの時期であればまだ誘うチャンスはありそうなものですが実際はそうでは無いのです。


4月には2年生になってクラス替え、そこで別のクラスになってしまえば話しかけることの出来る機会はかなり少なくなります。


(勇気を出すんです、私!)


「あのっ、葉幸くん!」


「なに?」


「あのですね。せっかくこの3人で水着を選んで買ったりもしましたし、2年生の夏休みにはこの3人でプールに行きませんか?」

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