第22話 生徒会長

「はい、じゃあ今日の授業はここまで。次は第1実験室集合だから忘れるなよ」


「きりーつ。れい。ちゃくせーき」


6限目の化学が終了したその時、その人は突然この教室にやってきました。


ガラガラガラ……


「こんにちは〜。さちくんのクラスってここですかー?」


入ってきた人物に、呆れたように先生が答えます。


「あのなー…。せめて他クラスなんだからノックくらいしてくださいよ


「あっはは…気をつけます。で、先生がいるからここはさちくんのクラスで間違いないとして、それじゃあ宝田心夏ちゃん?はどこかな?」


生徒会長の発言で、静かだったクラスは一気にどよめきます。


「宝田さんってことはもしかしたら噂のこと……」


「いやでもわかんないよ?」


「けどタイミング的にね……」


どこからともなく聞こえてくる会話が耳に入ります。

せめて本人には聞こえないように喋って欲しいものですね……


私だって、多少は傷つくんですよ?


「はい、私が宝田心夏です」


「あーそっかそっか!じゃあちょっとついてきてくれるかな?話したいことがあるんだ」


話したいこと、とは十中八九噂のことでしょう……


「分かりました」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る