第21話 静かな教室

昼休み、最近は静かになってきていた教室だったが今日に限ってはそれ以上に静かになっていた。


(何かあったのか…?)


明らかにいつもとは違う状況だ。

耳を済ませてどこからか聞こえてくる会話を盗み聞きしてみると……


「まさかあの宝田さんがね……」


「でも噂だし…まだわかんないよ」


「でも、よく考えたらあんなに完璧な人なんて普通いないって……キャラ作ってたんだよ」


「でも、それだったらあんなに落ち込むかな…?授業中もずっと心ここに在らずってかんじだったよ」


「うーん、どうなんだろうね…。でも、あんな宝田さんを見てると、こっちもなんか暗くなっちゃうよね」


(なるほど。会話から察するに、昨日宝田に気をつけるように言われた類の噂では無さそうだ……)


とはいえ、このクラスの取り柄といえば元気なところだけ。その元気が失われてしまえばこのクラスには何も残らないだろう。その元気を取り戻すためには宝田を復活させる必要がある。


(仕方ないな……)


僕は、携帯の電源を入れてある人物に「うちのクラスの宝田ってやつがピンチっぽい。助けてやってくれないかな?」とメッセージを打ち込んで送信した。


送った相手からは「分かった!」の一言だけ。

だけど、この学校内に置いてはもっとも信頼のおける人物だ。あとは任せておいて大丈夫だろう。

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