第3話 俺じゃないのか
学校の6限目の授業が終わり部活に行く生徒、家に帰る生徒、友達と遊びに行く生徒と、多くの移動中の生徒で入り乱れる廊下を歩き私は指定の場所、屋上に到着します。
「来てくれてありがとう。いきなり呼び出してごめんなさい」
屋上には既に男子生徒が1人いたようで、私が入ってくるなり声をかけてきます。見たところ2年生の生徒のようです。
「今日は、話があってここに宝田さんを呼んだんだ。」
「話、ですか…?」
だいたいなんの話なのか検討はつきます。十中八九告白なのでしょう。でも、私はそれを態度には微塵も出さないように、何も知らないような素振りをします。
告白されると分かっていてその場に現れ、そしてその思いを拒絶するというのが分かれば相手も良くは思わないでしょうから……
「うん…。実は僕ずっと前から宝田さんのことが好きだったんだ!付き合ってください!」
「ずっと」ですか……
それがどれほどずっとなのかは分かりません。でも、その「ずっと好きだった」という言葉は少しも私の心に響くことはありません。
「ごめんなさい」
その言葉を口にした時に、目の前の男子生徒の表情は途端に暗くなります。
「やっぱり、僕じゃないんだね……」
男子生徒はボソリと、私がギリギリ聞き取れるくらいの独り言を言ってその場を去ってしまいます。
そんな彼の背中を見て、私は拳をギュッと握りしめて感情を押さつけます。
──やっぱり、告白なんて嫌いですね
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