第73話


「それなら僕も知ってるけど、実際どうなんだろうね」


「初めて聞いた」


「……ふ、ふーん。つまりはあれかい色男。関さんのこれまでの行いは、藍莉のバストアップを助長していただけだとでも……?」


この都市伝説的な言葉が真実ならまさにその通りだろう。

杉並の胸の更なる成長に助力していただけだ。


「だとしたらどうする? これからはもうやらないのか? それともまだ続けるのか?」


「そうだなぁ…………次からはスカート捲りだけにしよっ」


「僕的にはそっちもやめてもらえると嬉しいんだけどね……」


——杉並いじりに飽きたのか、関さんは杉並の体を解放し俺達の元を離れていった。


いつスカートを捲られるのか常に気を配ってなきゃならないってのは、この上なく面倒だよな。

そっちはそっちで、何か方法を考えてやる必要があるか。


「スカート捲りの件だが、下に体操着履けば万事解決なんじゃないのか」


よく中学時代女子がやってたあれだよ。

あれなら捲られようが何もこわくないよな。なんてったって、捲る側がつまらない。捲り甲斐がない。


「それ、確か校則で禁止されてた」


「そうなのか? バレなきゃ大丈夫じゃね。どうせ隠れて見えないんだし気付きようがない」


いちいちスカートの中を覗き込んでまでチェックしてくる教師なんていないんだから、それこそ服装検査の時だけ気をつければいい。難しく考えることはない。


「そうなのかなぁ……? それが一番いい方法なのかなぁ」


「スパッツとか黒タイツを履くのは?」


「あーちゃん、それいいかもっ! ……あー、でも、僕どっちも持ってなかったや……」


だったら買えばいいじゃん。

……って言うのは、杉並に対しては禁句だったか。

そっちに使える金があるなら食費に使いたいってのが本音だろうしな。

タイツくらい大した金額じゃなさそうだけど。


「持ってないなら体操着でいいだろ。体育がある日はちょっとだけ着替えが楽になるかもな。知らんけど」


「でも、万が一バレたときに先生に怒られるのはやだなー」


せっかく案を出してやってもこれでは話が進まないな。

いっそ、金の問題で解決するのなら、タイツくらい俺が買ってやってもいいかとすら思えてきた。

それほどにどうでもいい話だ。


「ねぇ。どうして僕達、こんなくだらない内容を真剣になって話し合ってるんだろうね」


「……奇遇だな。ちょうど俺も似たようなことを考えてた」


「——あ、そうだ」


誰かさんのせいで、俺と杉並が心底うんざりしていたそんなとき、突如歩美が何かを閃いたような声を上げた。


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