2.カオスダイバー

「鬱ですね」と言われたのは何年前だっただろう。

多分四、五年前だった気がする。

今の主治医から、「死にたいと思ったことはありませんか?」と聞かれて、わたしは泣いた。めちゃくちゃ、泣いた。絵に描いたような号泣だ。思わず先生がティッシュを差し出してくれるくらい、めちゃくちゃ泣いた。初診で時間もなかっただろうに、先生は黙って聞き続けてくれた。

そうか、わたし、鬱だったんだ。

死にたいと思い続けて来た。ご飯も、わたしなんかが食べるもんじゃないなという意味のわからん自論で食べずにいたら、20キロぐらいごっそり落ちた。とりあえず眠れないし、朝が怖いし、何も楽しくないし、あれだけ好きだったゲームも、まっっったく楽しくなくなってしまった。

ヤバいな、と気付いてくれたのは周りだった。心療内科へ行けば、と言われて、「わたしは病んでない!」と言い張り行こうとしなかったもんだから妹に連れていかれた。

鬱は何人に一人がなる、とかニュースで言ってるけどまさか自分がなるとは思っていなかったので、まじかよ、と思った。同時に、病名が分かって少しほっとしたのもある。先生の前で号泣しながら、そうなんです、何も楽しくないし、眠れないし、食べれないし、もう死にたいです。と鼻水を垂れ流しながら言ったら先生は優しく聞いてくれた。それから地獄のお薬調整がはじまったのだけれど、それはまたに取っておく。周りは「やっぱりね」って感じの反応だった。何が「やっぱり」かは全然分からなかったが周りから見ると異常だったらしい。


わたしは、創作は、排泄だと思っている。

読書なんかで取り込んだネタや知識や語彙。それらを表現という形で排泄する。

うん。

今書いているのは、看護師サイドから書いているからお医者さんの事情なんてよくわからないまま書いているんだけど、明るいものになればいいなあと思っている。それと同時に、わたしはめちゃくちゃ暗い展開が好きなので、機会があればそういう話も書いてみたいなあとも思う。


地獄のお薬調整を終えた今、まだまだしんどいこともあるけれどなんとか生きている。「じゃーん!実は鬱でしたー!」と軽口も言えるようになった。ゲームも、楽しい。もうすぐ仕事にも復帰だしね。(実は今休業中なのだ)


入院しているあいだ、たくさん本を読んだ。わたしはジャンルなんでも雑食だが、活字中毒なので本を読めなくなったら死んでしまうだろう。書いたり聴いたり見たり、それらを摂取して、わたしは手探りで色々、オモシロいことをしていければなあ、と、思う。

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