僕らは法という枠組みの中で生きている。もちろん、法があるからこそ安心して暮らせる。
なにせ、決まり事という物差しがなければ、何をするにも不安だろう。それが正しいのか? その選択がベターなのか? わからずに手探りで生きるのは辛い。
だけど僕は時々、正しさとはなんなのか? を考える。
法という枠組みは誰かが決めた物差しに過ぎない。相対的に見て、これが妥当なのではないか? もしくは、前例を見てそれに習う。という不確実な物だ。
だからそれに邪魔されて、本当はベターな選択を選べなくなっているのを見るとなんとも残念な気持ちになる。
倫理観や道徳心、法などを超えて、自己を犠牲にしながら、人々の幸せを願う。手段は褒められた物ではないのかもしれない。だけど、主人公達の願いや思いに心を動かされた。
山野陽平さんの『亡者の死なぬもの』を読んで、僕はもう一度、正しさとはなんなのか? という事を思った。
世界の人々の幸せの為に、自分の出来る事をしたいと願うのは、例えばそれが法に反していたとしても、美しい。