第20話 旅支度
「うーん。色々あってやっぱりわからないな」
シャーフに野営専門の雑貨屋があると聞いて、マイゼンドは訪ねて来ていた。一通り見て歩いたが、どういうのがいいのかさっぱりだ。
「あの、暫く一人で冒険するんですけど、何も持ってないので最低限何があればいいですか?」
マイゼンドは、わからない時は聞くのが一番と店の人に聞いた。
「そうですね。野営するなら火を起こす道具や明かりを灯すアイテム、あとはテントや寝袋にモンスター感知か結界のアイテムでしょうか」
結構必要なんだとビックリする。
「ひとりなら一人用のテントは如何でしょう。一人用だけどそれなりに広いですよ。雨風しのげる方がいいでしょう。小さく畳めますので持ち運びにも便利ですよ」
ふむふむとマイゼンドは、薦められたテントをチェックする。ぎりぎり布団を敷けるぐらいの広さがあるが、天井は低い。座って手を伸ばせば届くぐらいの高さだ。
(布団が敷けそうだからこれでいいかな?)
ここに買いに来る前に、部屋で食べ物以外も空間にしまえるか試してきた。大きさに関係なく個数でカウントされ、生き物以外は入れらる事がわかった。しかも、ふくろなどに入れればカウントは1個なのだ。
「何か魔法をお持ちですか? お持ちでないのであれば、明かりを灯すランプも必需品ですよ。湯を沸かすつもりなら火を点ける道具も必要ですし、鍋などもあると便利でしょう。あと、そうそう、水を入れて持って歩く入れ物もあるといいでしょう」
店員は次々と紹介していく。その説明にマイゼンドはついていけない。なので聞きたい事を聞く。
「あの、生肉を焼いて食べたいんですけど……」
「え!? 調理のスキルをお持ちですか? だったらこちらの調理セットがお薦めです。浄化魔法付です。MPさえお持ちなら浄化も出来てしまいます。これがセットの説明書です」
マイゼンドは、調理スキルは持ってないが、興味があったので説明書を受け取って読んでみた。
モンスター包丁に薄々まな板、剥いだ皮や骨などを別々に入れる袋、鍋にフライパン。浄化魔法は、MPを一回50消費すると書いてあるが、これなら問題なかった。火の魔法もついているセットもあって、それもMPを一回50消費するが、MPよりお金の問題だった。
「そうでした。生肉を食べきれない時に保管しておく、冷蔵箱もいかがですか? 中古もありますよ」
「え? 冷蔵箱!?」
それも売っているのかと驚いた。前に借りた時に便利だと思ったのだ。
「新品は、コアがセットされているので高額ですが、中古はコアの魔力がなくなってしまっていますので、自分のMPを消費して使います。この大きさだと、1時間消費10です。こちらだと100になります。勿論、レアモンスターを討伐して、新しいコアに交換すればMPの消費なしでお使い頂けます」
「買います!」
速攻だった。中古は新品の十分の一だったのだ。それでも高いが、このごろずっとボアを狩っていて、お金はあった。だが買わなくていい冷蔵箱まで買ったのでスッカラカンになったが、マイゼンドは満足するのだった。
□
マイゼンドは、部屋の中でテントを組み立てていた。
「ふう。出来た。後は朝起きたら布団を入れて、買った物も入れて、しまうっと」
マイゼンドは、袋に入れれば一つとカウントされることからテントの中に全部入れて、空間にしまう事にしたのだ。そう今寝ている布団も持って行くつもりだ。
次の日、いそいそと布団をテントの中に敷いて、買った調理セットも入れその他諸々ぽんぽんと入れて行く。それを空間の中にしまった。
「おぉ。カウントは一個だ。さてとボアを狩ろう!」
ウキウキでボアを狩りに行くマイゼンド。早く冷蔵箱を使ってみたいのだ。
もう鎖鎌の扱いには慣れたものでほぼ百発百中だった。狩ったボアを空間にしまう。
「あ、ザラの分もあるからね」
よく考えれば、ザラがしまえる容量にも上限があるのだ。それ以上は奪われない。しかもザラは、袋ごとは出来ないようなので50個しかストックできないのだ。
「どれどれ」
スキル「捕食:レベル2/ボア35体・一角兎の燻製15体分」
「よし、満杯になったね」
数日かけてストックをいっぱいにさせたのだ。
それでは戻るかと、残りのボアを拾って空間にしまった。
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