自粛解除

「リュー君、新しいバイト先、決まったよー」


 電話を切ると彼女が俺に言った。

 外出自粛は解除され、街中には少しずつだが人通りも戻ってきている。だから、こんな日もやって来るとは分かってはいた。

 今までの生活を思い出し、寂しく思いながらも彼女へと聞いた。


「それじゃぁ、アキちゃんとの生活ももう、終わりかな?」


「え?何で?」


 外出自粛を口実に同棲のような生活を始めた。だから、自粛解除された今、彼女は戻っていくと思っていた。それに、彼女も新しいバイト先が決まったのだから、もう終わりだと勝手に思っていた。

 でも、彼女はそうは思っていなかった?この後も俺との生活を続けていきたいと?


「リュー君、なに黙ってるのー?」


「あ、その、もうアキちゃんは出ていくと思ってたから、その……」


「えー、わたしと一緒なの嫌なのー?」


「違う!そうじゃなくて、嬉しくて。俺もアキちゃんと一緒にいたいから」


 彼女は嬉しそうに笑った。俺は、その笑顔を見ただけで幸せな気分になれた。


 こうして俺たちは同棲を続けた。結婚をするかどうかはまだ分からない。けれど、きっと、俺は彼女と結婚して幸せな家庭を築くのだろう、と確信めいたものがあった。

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外出自粛から始まる同棲生活 星成和貴 @Hoshinari

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