第9話 風邪引いたら、甘々な看病が待っていた
「やっぱり風邪引いたのね」
朝になっても起きてこないので心配したのだろう。
白い衣装を着たサラが部屋にやってきた。
この白い衣装は、日本で言う白衣的なものだろう。
胸の谷間がおもいっきり開いて、男性なら落ち着かないやつ。
まさに看病するおっぱい。
「っいや、そのぉ……」
あぁ頭がグラグラしていた。
おっぱいと風邪のせい。
カミツキ亀の退治はアズのお手柄。
私は特に活躍する場もなく、風邪を引いただけ。
不甲斐ない。
「これくらいは、平気!」
声は強がっても体力が出ない。
「はいはい。分かりましたよ。ここに座りなさい」
おでことおでこを、くっつけてくるサラ。
先に、おっぱいが当たりなんとも柔らかい。
「やっぱり熱があるようね。ちょっと待ってって」
おっぱいが当たった所為で、2度は上昇してたと思う。
サラは出て行くと、必死に、にやにやしているのを隠しながら再び戻ってきた。
ぴたりと私の隣に腰を下ろして、手に持ったお粥みたいなものを、ふうふうしてくれている。
「シイナったら仕方のない子なんだからっ。あーんして」
ここは抵抗せずに、
「あーん」
……っまずーーーーー!!!
「薬草入りなんだから当然でしょ。これくらいは我慢して」
食べ物の味がしない。
「本当にこれ食べないとダメ?」
「もちろんよ。これを食べたら、元気になるんだからっ。まずいから食べさせてあげてるのよっ。ほら、もう一口。それとも口移しをご要望かしら?」
急いで、スプーンに被りついた。
っう、はきそうっ!
このやりとりを何度か繰り返した。
本気で吐きそうになりながら、なんとか完食。
「えらい、えらい。シイナはえらいこ。後はゆっくり寝たら、すぐに風邪は治るわ。治ったら一緒に遊ぼうねー!」
出て行くサラを送り、布団に入る。
さて、もうひと眠りしよう。
……っ!
圧倒的な嫉妬心を感じる。落ち着かない。
あっ……。
ドアの隙間から、アズが覗いていた。
心配で様子を見にきてくれたようだ。
「熱、私にうつったりしないかしら?」
「それは、保証できないよ」
「じゃ、ここからでいいわ」
「えぇっと、そこから見られると、ストーカーされている気分で落ち着かなくて」
「ストーカー? それは何か知らないけど、私を物凄く性犯罪者的な扱いしてたりする?」
「あぁ今のは忘れてぇ……。なぁ用があるなら、入ってきなよ」
「シイナ様がそこまで言うなら、仕方ないわ。入ってあげる。で、私に何か用事かしら?」
「体調を心配して来てくれたんでしょ?」
「心配して欲しいなら、はっきりそう言ってくれた方がいいわ。で、体調はどう?」
「さっきサラさんからすっごく苦いご飯を食べさせてもらったから、もう大丈夫だと思う」
寸劇を始めるアズ。
「シイナ、あーんしてぇ。はぁい、あーん。おっぱい当たってるよサラ。どこ見てるのよ、もう〜シイナったらっ。みたいなイチャイチャ、ラブラブを永遠と繰り広げてたのは知ってるわ。見てたもの」
大分脚色してるだろっ!
怖いっ。このメイド怖い。
「……」
「シイナ様がそこまで言うなら、もう少しだけ一緒にいてあげるわ」
「はいはい、ありがとう」
アズはわざとらくし、あくびを始めた。
「シイナ様のお話が退屈だから眠くなってきたわ。ベッドを使わせてもらうわ」
私の返事を待たずに、するりとベッドに入りこむアズ。
「私、少しだけシイナ様のお昼寝に付き合うことにしたの。それじゃおやすみなさい」
私もベッドに入ると、アズが手を繋いできた。
それからゆっくりと顔をくっつけてくる。
密着中。
かえって寝れそうにない……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます