第4話 戦いでもおっぱいに目が行ってしまう
巨大な蝶々の羽から火の粉が舞い、人々は逃げ惑う。
巨大な毛虫の毒針を受けて、バタバタと死んでいく。
兵士とは名ばかりの者たちは、戦闘経験に乏しく、勝負になっていない。
気がつけばほぼ全滅。
屋敷の前で、果敢にも若くて大きなおっぱいの女兵士が、次々とモンスターを退治していた。
ちょっと綺麗な女性で見惚れてしまう。
剣さばきは鋭く、他の兵士とは比べ物にならない。が、次に相手しようとしているカブトムシのモンスターは敵が悪すぎるだろ。
あいつの体は鋼鉄で、剣は効かない。
おまけに石をも一撃で破壊するような力。あんな風に接近するのは命知らず。
見過ごす訳にもいかない。
「そこの人、さがって!」
「子供に言われなくないわ! それにヒルドでは見たことない顔ね。旅の人でしょ。とっとと逃げなさい!」
逃げたい気持ちではあるけど……。
「悪いけど、ヒルドとは縁が深くて、そういう訳にはいかないの」
「ってそんな小さな武器でなにが出来るの?!」
「これ、結構気に入ってるんですよ」
「やばっ!」
女兵士に気を取られ、真横から飛んでくる火の粉が見えなかったのだ。
瞬時に、跳びながら前転。
さっと銃口を向ける。
「10連水刀」
連射したそれは、蝶々の羽を切り裂き、なおもモンスターをもとめて飛んでいく。
「すごっ! さっき子供扱いしたことは謝るから、こっちもなんとかしてちょうだい! キャー! 助けてえ!!!」
女兵士にカブトムシの角が降りおろされた。
「蜘蛛の巣」
間一髪のところで、蜘蛛の巣が女兵士の前で広がり、盾の役割を果たした。
素早くトリガーを引く。
「氷射」
氷塊がカブトムシに向かって、飛んでいく。
カブトムシにあたると、瞬時にカブトムシの体は厚い氷の塊に覆われ、そのままカブトムシは砕け散る。
「なによこれ……。あなた何者?!」
不意の質問に戸惑った。
「ただの通りすがりです! ってそんなことどうだっていいから、生き残った人たちを非難させて。はやく! あとは、私がひとりでなんとしてみせる」
「分かったわ。お互い生きてたら、後でじっくり話を聞かせてもらうわよ」
これで、人々に気を使わなくてよくなった。
深呼吸をして、心を落ち着かせる。
なんとかしてみるとは言ったものの、どうする……。
「賢者、まだ行けるか?」
『まだまだ行けます!』
さすがは、賢者さま! よしっ!
「──さあ、モンスターを狩る時間だよ」
遠く、木や家に突進しながら、突っ込んでくる巨大なアリの大軍に銃口を向ける。
『その数100』
ちょっと、あの数にしては、遠いな。
『いえいえ、そのまま照準合わせてください!』
よく分からないけど、賢者の言う通りに、水鉄砲を構えて、照準を合わせると、足元に魔方陣展開された。
『これが特殊魔法石水鉄砲の力ですよ!』
水鉄砲が光を放ち、自分でも驚いている。
『遠距離爆裂弾を獲得しました』
銃口が伸びる。
魔方陣から風が舞い上がり、エネルギーが満ち溢れる。
「賢者よ我に力を貸し与えよ。あの化物を打ち倒せ──!!!」
魔方陣が銃口の前にも展開され、
「──遠距離爆裂弾!」
発射された弾丸は、魔方陣を通り抜け、数倍もの大きさになって飛んでいく。
アリの大群にあたると同時に、爆音。
あたり一面が吹っ飛んだ。
『自動給水に成功しました』
アリの全滅を確認して、いよいよモンスターの主犯に近づいていく。
モンスターたちの一番後ろで、じっとしてるフクロウの化け物を見つけた。
周囲に黒いエネルギーが取り巻き、目が赤い。いかにも今回の主犯者って感じ。
だけど、フクロウは巨木の中で寝ているフクロウ族。夜に出てくることはあっても昼間から動き回るのを見たことがない。
「とりあえず、やれるだけのことはやってみる」
「威嚇射擊!」
退治よりも撤退を促した。
効果なし。
続いて!
「蜘蛛の巣刀」
モンスターの前で巨大な蜘蛛の巣を展開させる。
「死にたくなければ、森に帰れ! 今なら許してやる」
……はいっ! 帰りません。
許してやるとか言ったけど、もう町はぼろぼろですけどね……。
他のモンスターが巣刀にかかって、首が飛んでいく。
「やっぱり、フクロウは動かない……」
理由を確かめたくなり、フクロウの背後に回る。背中に一本の矢が刺さり、そこから大量の血が出ていた。
蜘蛛の糸を発射。
攻撃のためではなくて、背中に刺さった矢に糸を巻きつけるためだ。
もしこれで矢が抜ければ、助けられる気がしている。
「ぅぅぅぅぅぬ、ぬ……!!!!」
矢に巻きつけた糸を、引っ張るが……。
「ぅぅぅぅぅぅぅぅぬ、ぬ、ぬ、……!!!!」
ダメだ、抜けない。
「我々も手伝うっ! 任せろ!」
先ほどの女兵士が、体格の良い男性を数人連れて走ってきた。
ムキムキ筋肉の男が勇ましいぜ!
こちらは揺れるおっぱいが刺激的だぜ!
これならいける気がしてきた!
「「「せーの!」」」
掛け声と共に力を合わせて、何度か引っ張ると、矢は抜けた。
しかし残念なことに、フクロウは倒れて動かなかった。
矢の先には、魔法石が埋め込まれていた。
そして矢は何かを語る前に、消えてなくなった。
「ぁ……っ」
ばたり。私も同時に、意識を失った。
どうにもこうにも体力の限界だったようだ。
△△△△△△△△△△△△
鼻の奥を擽る甘い香りに、目を覚ました。
私の顔の下には、つるつるした生肌があり、思わず頬をすりすりしたくなる。
私の人生で、初めての感触だ。
女性の膝の上で顔をすりすりなんて――。
「お目覚めかしら、ヒルドの英雄様。英雄ちゃんの方が良かったかしら?」
「……!?」
飛び起きると、おっぱいの大きな女性が窓から差し込む日差しを受けながら、にっこり微笑んでいた。
先ほどのいい香りの正体は、大人の女性の匂いだったようだ。
男性なら鼻血が出そうな露出の多い服を身に纏い、キラキラした瞳をこちらに向けている。
黙っているだけで、とんでもない美少女。
「えっと……、どちら様でしょう?」
「このおっぱい、見忘れた?」
「……っへ?」
「忘れちゃったかな? 英雄ちゃんに命を助けてもらった兵士よ」
「さ、さ、最強おっぱい!」
「この度は、このヒルドを救って頂き、本当にありがとうございました」
丁寧にお辞儀されて、慌ててしまった。
乳首が見えそうだった。という意味ではないので。
アワアワ、アワアワ。
大人の女性の魅力を前に、私は動揺してます。
「ぁぁえっぇ。……いや、たまたま、通りかかった旅のものですから! お構いなく!」
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