あの時のことを思い出すと、僕の胸は締め付けられる。

「ねー、ねー！　もうすぐ打ち上げ花火が始まるよ！！」

僕の意識は、舞葉のはしゃぐ声によって一瞬で現実へと引き戻された。

境内には打ち上げ花火のアナウンスが響き、夏祭りに参加している人々が沸き立つ声が聞こえる。

「今年もいつもの場所で見ようよ！　早く行かないと、花火始まっちゃうよ！」

僕の袖を引っ張る舞葉を見て、僕は安心した様に息を吐き出す。

「…うん。急いで行こうか！」

彼女に笑顔を向けて僕は言う。

そうして僕達は神社を後にする。

打ち上げ花火を見るには絶好のスポットを、僕達は知っていたのだ。

毎年向かっているその場所へ、僕達は二人で肩を並べて向かうのだった。

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