第11話 任された結人
「愛の神様、それはなぜ……」
ラブはアイジンに問いかける。長い間、一番アイジンの近くで働いていたラブはイユとビスムよりも驚いている。
「私は愛することについて、もっと考えたい。イユの意見を聞いて私は思った。なぜ愛することを制限しようとしたのか、と。なぜ男性と女性によるカップル以外はダメだと考えたのか、と。そういうことで、私は近いうちに人間界へ旅立とうと決心した。人間たちのいる場所へ行って、愛することについて考えたい。いや考えたいというよりも、知りたい。私は愛を学びたい。私は結人だというのに……愛することについて、よく分かっていなかった。そんな私が、この世界を支えるわけにはいかない。私よりも愛することが何かを分かっている者に、この世界を任せたい」
アイジンの決意を聞いて、ラブは目に涙を浮かべている。
「愛の神様……!」
「泣くな、ラブ」
アイジンは笑った。
「イユ、乱暴なことをして悪かった。どうか許してくれ。また……いきなり、こんなことを頼んで本当に勝手だと思う。だが私は君に、この世界を任せたい。そして、これからも幸せなカップルを生み出してもらいたい」
アイジンは頭を下げた。
「分かりました。あたし頑張ります!」
元気な声でイユは返した。彼女の決意は、とても早くて固かった。
イユの思いを聞いたアイジンは頭を上げて口を開いた。
「ありがとう、イユ。頼むぞ」
「はい」
「ビスムとラブ。二人でイユをサポートしてくれ」
「はい」
三人は力強く、アイジンに返事をした。
「ではイユとラブ。二人は、もう下がって良い。ビスムには話がある。まだ残っていてくれ」
「分かりました」
「それでは失礼致します」
イユとラブは速やかに退室した。そして「一番偉い人の部屋」で、ビスムとアイジンは二人きりになった。
「愛の神様、わたしに話とは?」
「いや、そこまで力まなくて大丈夫だよビスム」
少し緊張しているビスムに対して、アイジンは優しく言葉をかけた。
「ビスム、まだ君はイユに伝えていないようだね」
「え?」
「君の、イユに対する思いを」
「あっ……」
ビスムは顔を赤く染めた。
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